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蒔絵師「田村一舟」さんが蒔絵の実演をしてくださいました。

日本を代表する加賀蒔絵師「田村一舟」さんが10月23日(日曜)当店で蒔絵の実演および講習をしてくださいました。 多数ご来店いただきまして誠に有難うございました。 PM:1時・3時・5時と3回に分けて予定をしましたが、入れ替わり立ち代りお客様でにぎわい、 結局1時より6時過ぎまで通しで実演をお願いすることになってしまいました。 参加されたお客様の熱意と好奇心を前に無意識にしゃべり続けてしまわれたようです。 田村さんは当日、開始の1時間半前からおいでになり準備をされるほど生真面目な方ですが、 一人一人に気さくに話しかけられている姿はまさに蒔絵の伝道師です。 お恥ずかしいのですが、蒔絵の正確な意味・手法につき実演を拝見するまでほとんど知りませんでした。 もちろん、一枚の文字盤を作品にするまで少なくとも3〜4ヶ月の歳月を要し、漆を使って何層にも 塗り重ねていく緻密で大変根気の要る作業であることは理解しておりましたが。 「蒔絵」の由来はまさに漆を塗り、それを接着剤代わりに金粉を蒔き、 ある程度の乾きを待って磨きをかけるといった工程を何度も繰り返しながら作品として仕上げていく伝統工芸です。 田村さん曰く、蒔絵で今の課題の一つは色の表現であると。 特に青色を出すためラピスを砕きそれで表現しようとしても、 意に反しほとんど黒に近い色の仕上がりになってしまうのが実情のようです。 また、伝統工芸というきわめて保守的で閉鎖的な社会の中で、 蒔絵の題材もなんの疑いもなく「和」のものに求められていましたが、 こうして若い年齢層を交えて実演されていると、日本の伝統工芸を後世に伝えていくためには若い人のしがらみのない 自由な発想が本当は必要なのではないかともお話されていました。