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エキリーブルの掲載記事

エキリーブル MJコンテス「エキリーブル」(こころ+バランス=幸せ)
エキリーブルとは心と体のバランスを主眼に、WFP(国連世界食糧計画)の活動や子供の教育問題
そしてオリンピック誘致に至るまで現在身の回りにある課題をテーマに編集されるタウン誌です。
創刊よりSpice of life(人生の香辛料)のタイトルで連載しておりますのでご紹介させていただきます。

※画像をクリックして頂くと、エキリーブル発行会社
 「MJコンテス」さんのサイトをご覧頂けます。

とっておきの時間には「葉巻」が似合う

クエルボ・イ・ソブリノス今では嫌煙運動も定着し、煙草を喫煙できる場所はずいぶん制限されるようになりました。 愛煙家にとっては肩身の狭い思いをしながらの喫煙でしょうが、敢えてここでは葉巻についてふれてみたいと思います。

【葉巻はコロンブスの大航海の産物】
葉巻が西洋に伝わったのは、コロンブスの大航海に遡ります。ご存じのように、航海の本来 の目的地はインドでした。しかし、インドに向かう航路は、アフリカの喜望峰を経由するコースがポルトガルに制圧され、スペインその他の国は新たな航路を見つけざるを得ませんでした。
当時は、地球が球体であることを証明できる者もおらず、ましてやアメリカ大陸の存在すら知られていませんでしたから、たとえコロンブスが地球が球体であることを信じていたとしても、 大西洋を西に向かっての航海はあまりに無謀な旅であったことは間違いありません。
彼が最初に到達したのがカリブ海に浮かぶ小さな島サン・サルバトル島です。コロンブスはその
後、数度同じ航海をしましたが、その地がインドであることを疑うことはありませんでした。そして、
そこで初めて目にしたのが先住民が口でふかす奇妙な葉っぱでした。この葉っぱが後に全世界
に普及し、政治を語り文学を論ずる人々の間で深く根付いていくのです。「新大陸発見」の 偉業
を成し遂げた人物として後世に名を残すことになったコロンブスもその香りに魅了された 一人で
しょうか。今から500年以上前の事ですが。

【葉巻が出来上がるまで】
前置きが長くなりましたが、一本の葉巻が出来上がるまでには大変な時間と労力が費やされ
ていることを知っておくべきでしょう。タバコ農園で丹精込めて育てられた葉は、傷がつかないよう
手で一枚一枚収穫がなされます。自然乾燥させるのにおよそ50日。その後、一次発酵のため
に約30日寝かせ、葉の使われる部位による選別を経て再度60日程の発酵がなされます。
葉巻の種類によっては三次発酵までするものもあります。そして、黄麻またはロイヤル椰子の葉
でできた立方体の梱(こり)と呼ばれる入れ物に1年〜2年の間保管することによりさらに熟成が
進み初めて葉巻の原料が完成するのです。 長い年月と経験豊かな葉巻職人の技が織りなす
絶妙なハーモニーにより作りだされる一本の 葉巻は、まるで極上のワインをたしなむが如きです。

【葉巻と云えばキューバ(ハバナ)産】
一言で葉巻といっても、キューバ産、ドミニカ産、フィリピン産など様々です。でも、葉巻通と云わ
れる人たちが口を揃えて絶賛するのがキューバ(ハバナ)産です。もちろん、その香りや味は銘柄
によってもまた、製造年、保存状態によっても様々ですが、どうやら良いタバコ葉を作り出す秘密
にキューバの土壌があるようです。
1961年のキューバ危機、この時アメリカのJ・F・ケネディはキューバの経済封鎖をおこなう政治的
決断を余儀なくされたのですが、葉巻愛好家であった彼は葉巻の輸入禁止に踏み切る前にキュー
バ産ハバナシガーの買いだめを命じたというまことしやかな話があるほどです。
かつて葉巻とハバナをこよなく愛した文豪ヘミングウェイも、葉巻をふかしカリブの海を眺めながら
「老人と海」を書き上げたのでしょうか。

【とっておきの時間のために】
そもそも葉巻の吸い方には格式ばったルールはありません。強いて言うならば、においと煙が強いため葉巻を吸う場所わきまえる配慮が紳士・淑女のマナーでしょう。これは余談ですが、葉巻はたっぷ
りと時間をかけ発酵そして情勢がなされ、その過程でタールやニコチンが取り除かれていくので紙巻き たばこより体に害が少ないようです。50歩100歩かもしれませんが。
「特別な日に特別な場所でとっておきのワインを開けるように、特別な日に特別な場所でお気に入り
の葉巻をふかす」、こんな一日があっても良いのではないでしょうか。

葉巻について詳しく知りたい方は、川島幸夫著「ハバナ・シガー 紫煙の誘惑」(東洋出版)が参考になるでしょう。